光増感剤とは、光を吸収してエネルギーを移動または供給し、光重合開始剤を励起・活性化する物質です。
光重合開始剤だけでは反応しにくい特定の波長の光の活用や反応効率を向上させたりするために使用されます。
光増感剤『NFシリーズ』
NF series
光増感剤『NFシリーズ』とは
硬化性能を向上させる目的で使用され、塗料、印刷材料、フォトレジスト、接着剤等の用途で幅広く使用されております。光重合開始剤との併用にて、吸収の小さい長波長の光を利用することができ、深部硬化の促進も可能です。光増感剤使用による高感度化により、光重合開始剤の添加量を減らすことが可能です。また、光遮蔽剤の性質を利用し、基板のガラスエポキシ樹脂に混合して、両面から露光する際に反対側に光が漏れないように裏写り防止剤としても使用されています。

用途例

スマートフォン

車載用ナビ

PC

ゲーム機
当社の光増感剤 3つの特徴
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01
- 長波長域に特化した製品が多数
- 特にh線(405nm)に高い吸収のある製品を取り揃えており、各種レジスト(ドライフィルムレジスト等)の実績が多数ございます。
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02
- 高感度型
- 少量の添加量で高い増感効果を発揮します。
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03
- ユーザーの要望に合わせたカスタマイズが可能
- ご要望に合わせた構造設計を行い、少量生産にも対応しております。
製品ラインナップ
サイト上の色の表示部分に関し、実物とは色味が多少異なります。
実際の色味の確認をご希望のお客様は、下記お問い合わせ先まで資料のご請求をお願い致します。
スペクトル
当社の光増感剤と汎用的な光重合開始剤のスペクトルを比較していただけます。スペクトル下部アイコンで、表示/非表示を切り替えることができます。
凡例
- 651タイプ【BDKタイプ】2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン
- 1173タイプ2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン
- 184タイプ【HCPKタイプ】1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
- 2959タイプ1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン
- 907タイプ【MMMPタイプ】2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
- 369タイプ【BDMBタイプ】2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン
- TPOタイプ2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド
- 819タイプ【BAPOタイプ】ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド
- Cl-HABIタイプ【BCIMタイプ】2,2′-ビス(o -クロロフェニル)-4,5,4′,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール
よくある質問
光増感剤には、主に以下のようなメリットがあります。
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露光波長の拡大:光重合開始剤が吸収できない波長の光でも、光増感剤が代わりに吸収してエネルギーを渡すことで反応する
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硬化効率の向上:エネルギーを効率よく伝達することで、硬化速度を速めたり、より少ない光量で硬化させたりすることができる。
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深部硬化性の改善:材料内部まで届きやすい長波長の光を利用できるようになるため、厚みのある材料の内部までしっかりと硬化させることができる。
光増感剤は、主に以下の3つのステップで機能します。
- 1.光増感剤が光を吸収し、エネルギー準位の高い「励起状態」になる。
- 2.励起状態になった光増感剤が、光重合開始剤にエネルギーを渡す(エネルギー移動)。
※電子を供与・受容する場合もある(電子移動)。 - 3.エネルギーを受容し活性化された光重合開始剤が活性種を生成し、重合反応がスタートします。
光増感反応とは、「光増感剤」が介在することによって引き起こされる化学反応全般を指します。光増感剤が吸収した光エネルギーを他の物質に受け渡すことで、本来なら起こりにくい反応を促進させる一連のプロセスのことです。
光増感反応は、以下のような事例で弊社の技術が利用されています。
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ラジカル重合の促進:光増感剤を用いることで、より効率的にラジカルを発生させ、アクリル系モノマーなどの重合をスピードアップさせます。
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酸素阻害の軽減:特定の光増感剤は、ラジカル重合を妨げる空気中の酸素と反応し、硬化不良を防ぎます。
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深部硬化性の向上:長波長の光エネルギーを効率よく利用できるため、厚みのある樹脂の内部まで均一に硬化させることが可能になります。
励起エネルギー移動とは、光を吸収して励起状態になった分子(ドナー分子)が、そのエネルギーを周囲の別の分子(アクセプター分子)に移動させる過程を指します。この現象は、光増感剤が機能するための重要なメカニズムです。
- ●励起エネルギー移動の種類
- エネルギー移動には、分子間の距離などによって主に2つのタイプがあります。
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フェルスター(Förster)型:エネルギーを移動させる分子のLUMOに励起された電子の波動運動に伴った電場変動(双極子振動)が、エネルギーの移動先の分子のHOMOの双極子振動に共鳴してエネルギー移動が起こる現象です。
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デクスター(Dexter)型:エネルギーを移動させる励起状態の分子の電子と、エネルギーの移動先の電子が波動運動の交換を通してエネルギー移動が起こる現象です。
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- ●励起エネルギー移動の役割
- このエネルギー移動は、光化学の様々な場面で重要な役割を担っており、光重合反応の開始、酸素阻害の軽減、深部硬化性の向上など、多くの機能を実現します。
製品カタログ
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